業務効率化から
社員の負担軽減、新規顧客の開拓も。
DXは会社を動かす力になる。
中村鉄工株式会社
代表取締役 中村 哲
1940(昭和15)年創業、部品加工にこだわって一途にものづくりを貫いている中村鉄工株式会社。
自動車や半導体の部品加工、スプリングの製造など、時代のニーズに応えながら柔軟に事業を拡大してきた同社では、アナログだった業務をDXで効率化。
業務負担の軽減や新規顧客開拓など、想像以上の効果をもたらしている。
DX導入の背景や経緯、具体的な効果などについて、代表取締役社長の中村哲氏にお話をうかがった。
-
中村鉄工株式会社
代表取締役
中村 哲(さとる) 氏
-
DX化のポイント
- 旧式のCADを更新し、図面作成時間を大幅に削減
- 製造業に理解の深いシステム業者を選定。助成金の活用で、費用を抑えて導入
- CADによるリアルタイム提案が自社の強みに。新規案件の獲得につなげる
先代が貫いていたアナログ作業からの脱却
中村氏が社長に就任したのは、2023(令和5)年。 それまで同社の業務の多くは、父である先代社長が1人で行っていた。 製品加工のためのプログラムも先代が手入力で作成し、自身の経験と勘を頼りに加工・製造されていた。 従業員への技術指導も特段行われていなかった。 高齢になって体力も落ちてきた先代の姿を見ているうちに、「このままではまずい」と中村氏は危機感を抱く。 アナログの業務をすみやかに改善し、技術がしっかりと継承されるシステムを作らなければ会社に未来はない。 中村氏は幾度となく改革を訴えるものの、先代は業務のデジタル化に否定的だった。 さらに景気後退によって業績が悪化して設備投資もできなかった。 そこで中村氏が目をつけたのが、10年ほど前に導入していた旧式のCADだった。 このCADは部品加工に欠かせない旋盤※1に対応できていない上に、インターネットに接続していなかったため、顧客との打ち合わせにも活用できていなかった。 「加工の手順や必要な刃物、取り付け方などをコンピューター上で管理することで、誰もが同じような加工を再現できる状態にしたいと考えていました。 将来的に、デジタルが絶対に欠かせないものになることはわかっていたので、キーワード検索や他社のYouTubeなどから情報収集をし、社長に就任したタイミングで本格的に動き出しました。」(中村氏)
※1:棒材や円筒状の材料を高速で回転させ、刃物(バイト)を押し当てて切削加工を行う工作機械のこと。
旧式のCADを更新し、期待以上の効果を生む
当初、中村氏は大口の案件受注に対応するため、地元金融機関の支援を受けて新たな加工機械とCADシステムを並行で導入する計画を立てていた。 しかし、大口受注が白紙に戻ったことで、以前からの課題であったCADの導入に注力する。 DX応援隊に出会ったのは、まさにそのタイミングだった。 専門家の視点から現状や選択肢について確認してもらい、新たなCADを導入するよりも、旧式のCADを更新する方がコスト的にも得策であると結論。 自社で製造部署を持っており、製造業に理解の深いコダマコーポレーション(本社:横浜市)に依頼し、江戸川区のデジタル技術活用促進助成事業(DX導入)助成金を活用して最新のCADに更新した。 買い切りのシステムで、ランニングコストを抑えられる点も大きなメリットだった。 このCADの更新によって、顧客から依頼のあった紙図面をCADに落とし込み、現場への作業指示書にする流れができた。 手作業でのプログラムと比較し、受注後の業務時間を大幅に削減。 また、これまで工具の選定ミスにより製造工程でエラーが出てしまっていたが、システム上で工具の選定エラーを検知できるようになり、事故率はほぼゼロになった。 これまで先代の経験や勘に頼っていた技術も数値化されるため、誰がやっても高品質の製品を生み出せるようになった。 「お客様とCADの画面を共有しながら加工や調整ができるので、商談もスムーズになりました。誰かが休んでも他の人が代わりに作業を進められるので、お互いのフォローアップもやりやすくなり、従業員に心理的余裕も生まれました。機能を覚えるのは大変ですが、ネガティブな大変さではないので楽しくやっています。」(中村氏)
DXは会社の強みになる
期待以上の効果をもたらしたDX化ではあったが、同時に新たな課題も見えてきた。 CADデータはサーバーにしっかり蓄積されているものの、取引先によっては紙の図面やFAXでのやり取りが生じ、完全な業務のデジタル化にはならなかった。 また、現場の職人によってはDX導入後も紙の図面をあわせて活用している。 紙には紙のメリットがあるため、アナログとデジタルのバランスを取りながら、どう改善していくかが課題だと中村氏は語る。 新しいCADは、同社の新たな強みとなり、今後の会社の展望を考える大きなきっかけとなった。展示会でも他の企業から声がかかるようになり商談機会が増加、同社の新規案件の獲得につながった。 新たな人材を獲得するための強みにもしていきたいと中村氏は語る。 「今後はロボットアームや3D CADなどの設備投資を進めて、工場の24時間稼働を目指したいと考えています。省人化と効率化が実現できれば、機械の稼働率100%は十分に目指せる数字だと思っています。DXも人材も上手に育てていきたいです。」
取材先企業からのアドバイス
DXを導入するにはコストがかかりますが、費用対効果は間違いなく高いと思います。 私も始める前は金額的にためらいもありましたが、作業時間が短くなったことで精神的な余裕が生まれ、展示会や新規顧客開拓にも積極的になりました。 資金繰りの目処が立つのであれば絶対にやった方がいいです。
| 企業情報 | |
|---|---|
| 企業名 | 中村鉄工株式会社 |
| 本社 | 東京都江戸川区小松川4丁目86 |
| 代表者 | 代表取締役: 中村 哲 |
| 創業 | 1940年 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 従業員数 | 7名 |
| URL | https://www.naka-tetu.co.jp/ |